■事実
■弁論
主文
1 被告は,別紙物件目録記載1ないし17,19ないし72,74ないし89及び92ないし197の各不動産について別紙登記目録記載1の所有権移転登記の抹消登記手続,同物件目録記載18の不動産について同登記目録記載2の所有権移転登記の抹消登記手続,同物件目録記載73の不動産について同登記目録記載3の所有権移転登記の抹消登記手続をそれぞれせよ。2 被告と訴外Aが同物件目録記載の不動産及び別紙什器備品目録記載の動産について平成14年5月29日に締結した贈与契約のうち,同物件目録記載90及び91の不動産に係る贈与が無効であることを確認する。
3 被告は,上記訴外Aに対し,同什器備品目録番号2,3及び11ないし17記載の動産をいずれも引き渡せ。
4 原告らのその余の請求を棄却する。
5 訴訟費用は被告の負担とする。
6 この判決は,3項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 請求
(主位的請求)1 主文1項に同旨。
2 主文2項に同旨。
3 被告は,訴外Aに対し,別紙什器備品目録記載の動産(以下「本件什器備品」という。)を引き渡せ。
4 3項につき,仮執行宣言
(予備的請求)
1 被告と訴外Aが別紙物件目録記載の不動産(以下「本件不動産」という。)及び本件什器備品について平成14年5月29日に締結した贈与契約(以下「本件贈与」という。)を取り消す。
2 主位的請求1項に同旨
3 主位的請求3項に同旨
4 3項につき,仮執行宣言
第2 事案の概要
本件は,本件贈与に関連して,訴外Aの運営する預託金会員制のゴルフクラブ「訴外A倶楽部」(以下「訴外A倶楽部」という。)の会員である原告らが,被告に対し,(a)主位的には,@訴外Aに対する預託金債権を被保全債権として訴外Aに代位し,訴外Aの所有権に基づき,本件不動産について本件贈与を原因として被告への所有権移転登記の抹消登記手続及び本件什器備品の引渡しを求めるとともに(債権者代位訴訟),A本件贈与の一部無効確認を求め,(b)予備的には,本件贈与が上記預託金債権に対する詐害行為に当たるとして,詐害行為取消権に基づき,本件贈与の取消しを求めるとともに,上記所有権移転登記の抹消登記手続及び本件什器備品の引渡しを求めた(詐害行為取消訴訟)事案である。1 前提事実(争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨によって容易に認定できる事実)
(1) 当事者
原告らは,本件贈与に先立ち,訴外Aに対し,それぞれ以下の金員を預託して訴外A倶楽部に入会した会員であって,被告は,ゴルフ場の経営等を目的とする株式会社である
(争いのない事実)。
原告名 預託金額
B 700万円
C 400万円
D 400万円
E 500万円
F 400万円
G 1200万円
H 1200万円
I 700万円
J 500万円
K 500万円
L 1200万円
(2) 事実経過
ア 平成3年5月21日,訴外Aは,本件不動産ほかの不動産をゴルフ場の敷地やクラブハウス等として(以下,このゴルフ場のことを「本件ゴルフ場」という。),訴外A倶楽部の運営を開始した。
イ 平成13年5月1日付けで,訴外Aは,被告に対し,被告に対する3億円の借受金の返済に代えるとして,訴外A倶楽部の営業権及び本件什器備品を含む本件ゴルフ場に関連する一切の動産を譲渡した(以下「本件営業権譲渡」という。甲5号証)。
ウ 同年9月付けで,被告は,訴外A倶楽部の会員に対して「組織変更のお知らせ」と題する書面を交付し,被告が同年5月1日に訴外Aから訴外A倶楽部の営業権を譲り受け,訴外Aに代わって訴外A倶楽部を運営することになった旨通知した(乙13号証の1)。
エ 平成14年5月24日,被告は,津簡易裁判所に対し,被告と訴外Aとの間で,訴外Aが被告に対して訴外A倶楽部の営業権並びにこれに関連する不動産及び什器備品を売り渡す旨の合意ができたとして,民事訴訟法275条に基づき,訴外Aを相手方とする和解を申し立てた(同庁平成14年(イ)第11号事件。乙1号証)。
オ(ア) 同月29日,訴外Aは,被告に対し,訴外Aが所有していた本件不動産及び本件什器備品を贈与するとともに,これに基づき,被告に対し,本件不動産及び本件什器備品を引き渡した(争いのない事実)。
(イ) 同日受付で,本件不動産(ただし,別紙物件目録記載90及び91の不動産を除く。
なお,以下,同目録記載の不動産をそれぞれ「物件1」などと表示する。)について,同日贈与を原因とする被告への所有権移転登記がされた(争いのない事実)。
カ 同月31日,訴外Aと被告は,本件営業権譲渡を解約した。
キ 同年6月6日,被告と訴外Aとの間で,訴外Aが被告に対して訴外A倶楽部の営業権並びにこれに関連する不動産び什器備品を贈与する旨の裁判上の和解が成立した(以下「本件和解」という。乙2号証)。
ク 同年10月8日,被告は,本件ゴルフ場において,ゴルフクラブ「M」の営業を開始した(乙3号証)。平成16年5月15日時点におけるMの会員数は1198名である(乙44号証)。
ケ 平成14年11月13日,訴外Aの代表取締役であったNは,「Nは,訴外Aの預託金債権者から訴外A所有の現金その他の動産が強制執行を受けるのを免れる目的で,被告の実質的経営者であったOと共謀の上,平成13年5月16日ころ,訴外Aと被告との間には金銭貸借がないにもかかわらず,訴外Aが被告から3億円を借り受け,これを返済しなければ訴外A倶楽部の営業権及びこれに関連する什器備品を被告に譲渡する旨の内容虚偽の金銭借用証書(以下「本件借用証書」という。甲5号証)を作成した上,強制執行のために訴外A倶楽部を訪れた執行官に対して本件借用証書を示して,訴外A倶楽部の営業権等を訴外Aから被告に譲渡した旨申し立て,もって強制執行を免れる目的で財産を仮装譲渡した。」旨の公訴事実で名古屋地方裁判所に起訴され,平成15年3月17日,上記公訴事実による強制執行妨害罪並びに公正証書原本不実記載及び同行使罪により,懲役2年,執行猶予3年の判決を宣告された(同庁平成14年(わ)第2777号。甲7号証及び8号証)。
(3) 登記
ア 本件不動産のうち,物件1ないし17,19ないし72,74ないし89及び92ないし197には別紙登記目録記載1の所有権移転登記,物件18には同目録記載2の所有権移転登記,物件73には同目録記載3の所有権移転登記がされている(争いのない事実)。
イ また,本件不動産(ただし,物件6ないし8,90及び91を除く。)には,別紙抵当権目録記載@ないしDの抵当権が別紙抵当権一覧表の各抵当権目録欄記載のとおり設定されている(争いのない事実)。
(4) 訴外Aの資産
本件贈与当時,訴外Aには,本件不動産及び本件什器備品以外に何ら資産がなく,現在も,原告らの預託金債権を満足させるに足りる財産はない(争いのない事実)。
2 争点及び争点に対する当事者の主張
(1) 主位的請求
(原告らの主張)
ア 本件什器備品の占有について
被告は,本件什器備品を占有している。
イ 本件贈与について
本件贈与は,訴外Aと被告が通謀の上でした虚偽表示である。
(ア) Nは,平成13年5月16日ころ,訴外Aの預託金債権者による売上金や動産等に対する強制執行から逃れるために,Oと共謀して,本件営業権譲渡を仮装し,訴外A倶楽部の営業主体が被告であるかのように装った。
しかし,被告は,訴外A倶楽部の名称をそのまま使用して本件ゴルフ場の運営を継続したために,名称続用等の理由で訴外Aの預託金債権者から預託金の返還請求訴訟を提起されて相次いで敗訴した。
そこで,被告は,訴外Aの預託金債権者からの追及を逃れるという口実で,本件不動産について登記名義を訴外Aから被告に移転するとともに,本件ゴルフ場の名称も変更したのである。
(イ) このように,被告が本件不動産について登記名義を取得したのは,本件営業権譲渡を仮装したことに端を発したものであって,訴外Aが被告に対して本件不動産を真に贈与する理由は何ら見いだすことができないから,本件贈与は実体のない仮装譲渡であるといわざるを得ないものである。
(被告の主張)
ア 本件什器備品の占有について
本件什器備品のうち,別紙什器備品目録番号1及び4ないし10記載のものは平成14年8月ころ廃棄され,現存していない。
イ 本件贈与について
本件贈与は,虚偽表示ではない。
(ア) Oは,Nの手形債務を裏書人として弁済したことでNに対して求償債権6540万円を有することになったが,Nには何ら資産がなかったことから,平成13年5月1日,上記求償債権の対価として訴外A倶楽部の営業権を譲り受けることになった。
その際,Oは被告の実質的な経営者であったことから,上記求償債権を被告に譲渡したことにして,営業権の譲受人を被告にすることとした。
そして,Oが訴外Aの代表取締役に就任することで営業権を譲り受けた。
その際,当時,ゴルフ場の営業権を譲渡する場合の相場が3億円くらいであったことから,第三者から文句を付けられないようにするために,貸金の額を3億円とする本件借用証書を作成したのである。
したがって,本件営業権譲渡は仮装譲渡ではない。この点,Oは,前記刑事事件の捜査段階において,本件営業権譲渡が仮装である旨自白しているが,これは,刑事手続から速やかに解放されることを望むあまりに虚偽の自白をしたものである。
(イ) その後,被告は,名称続用を理由とした預託金返還訴訟に相次いで敗訴したことを契機に,抜本的に本件ゴルフ場の経営を立て直すこととしたが,そのためには,本件不動産の所有権を取得した上で,ゴルフ場を改修し,本件不動産に設定された担保権の問題を解決することが必要だったのである。
その際,訴外Aと被告は,本件不動産の譲渡に関して,本件贈与のほか本件和解もしているが,これは,被告が贈与契約の成立と所有権の移転登記を急いだために,当事者間で合意に達した時点で口頭により贈与契約を成立させた上,訴外Aと被告との間で後日紛争が起きることを避けるべく,本件贈与を確認するために和解手続を利用したものである。
(ウ) このように,被告代表者及び訴外A代表者には,本件ゴルフ場を再建するために,本件不動産を経営手腕の優れた被告へ譲渡するとの内心が存在したのである。
そして,本件贈与後,被告は,自己の名義,計算で本件ゴルフ場を経営しており,多額の設備投資をしているのである。
(2) 予備的請求
(原告らの主張)
ア 詐害性
仮に,本件贈与が虚偽表示ではないとしても,詐害行為に該当するものである。
確かに,本件不動産にはその時価評価額を超える額の債権を被担保債権とする抵当権が設定されており,競売になれば余剰価値はない。
しかし,本件ゴルフ場の経営自体からは収益をあげることができ,その収益から債権者に対してある程度の配当をすることが可能である。
被告は,本件和解において,被告が本件不動産に付されている抵当権の抵当権者に対し,訴外Aの負担する残債務を弁済するとの合意をしたことをもって,抵当権者の債権回収により訴外Aの財産が減少することはない旨主張する。
しかし,本件和解は偽装工作にすぎないし,被告は債務引受をしたわけでもない。
仮に,本件和解の内容どおりだったとしても,本件ゴルフ場の収益により債権者の債権回収方法が認められる以上は,責任財産の減少があるといわざるを得ない。
イ 受益者の善意
被告には本件贈与が詐害行為に当たるとの認識がなかった旨の被告の主張は争う。被告は,本件贈与当時,訴外Aが本件不動産及び本件ゴルフ場施設内の什器備品以外に何ら資産を有しないことを知っており,かつ,訴外A倶楽部の多数の会員から預託金の返還請求を受けていたことも知っていたから,本件不動産やその什器備品を訴外Aから無償で譲渡されれば,訴外Aの債権者の権利を害することを十分知っていたというべきである。
(被告の主張)
ア 詐害性
本件贈与は詐害行為に該当しない。
(ア) 本件不動産を全体として見ても,各部分を個別に見ても,本件不動産の評価額以上の額の債権を被担保債権とする担保権が設定されていることは明らかであるから,売却によって余剰を生じる余地はなく,本件不動産が一般債権者に対する責任財産を構成することはない。
また,詐害性は当該行為の時点で判断すべきであるから,将来の営業収益などというものを判断材料にすることはできないというべきである。
仮に,これを判断材料にしたとしても,本件では,訴外Aに営業収益が出るような状況ではなかった。
なお,本件不動産に付された抵当権の抵当権者が抵当権を実行しないで,訴外Aから債権回収すると,その責任財産が減少することになるが,本件和解において,被告が上記抵当権者に対し,訴外Aの負担する残債務の弁済をするとの合意をしているから,抵当権者によって訴外Aの責任財産が減少させられることはない。
(イ) 本件什器備品についても,資産価値は皆無であるから,詐害行為の対象にはならない。
イ 受益者の善意
被告には,本件贈与によって訴外Aの責任財産が減少するとの認識がないのだから,本件贈与が詐害行為に当たるとの認識もない。
ウ 取消しの範囲
仮に本件贈与が詐害行為に当たるとしても,原告らの債権額は総額7700万円であるから,詐害行為取消権の行使は,この範囲に限定されるべきであり,本件贈与の全体を取り消すことはできない。
第3 当裁判所の判断
1(1) 前掲前提事実,証拠(甲1ないし3号証,5号証,10ないし14号証,16号証,18号証,乙1ないし3号証,11号証の1,13号証の1,16号証,17号証の1ないし7,18号証の1)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。ア(ア) 訴外Aは,Nがゴルフ場営業を目的として父親から資金援助を受けて昭和48年1月31日にP株式会社を設立し,昭和62年ころ,本件ゴルフ場の開発を開始するに際して商号変更したものであって,Nの父親が代表取締役,Nが専務取締役に就任していた。
(イ) 一方,被告は,Oが衛星放送の受信機等の製造,販売などを目的として,平成12年2月21日に設立したものであって,Oが被告の実質的な経営者であった。
イ 訴外Aは,コース造成に約170億円,クラブハウス等の建設に約18億円,ゴルフ場用地の買収に約40億円など,計約240億円をかけて本件ゴルフ場を開発した。
ウ これに並行して,訴外Aは,昭和62年10月ころから会員の募集を開始し,平成3年5月ころまでに,会員数は約2800名になった。なお,訴外Aは,会員募集に当たって,ゴルフ場の開場後10年間据え置くとの約定で会員から会員資格保証金を預かり,預託金の総額は約260億円になったが,そのほとんどがゴルフ場の開発費に充てられた。
エ 訴外Aは,同年5月21日,本件ゴルフ場を正式に開場し,訴外A倶楽部の運営を開始した(したがって,預託金の返還期限は平成13年5月21日になる。)。
なお,訴外Aの当時の代表取締役はNであり,その他の取締役及び監査役もNの血縁者であった。
オ その後,訴外Aは,平成7年ころから売上げが減少したことに加えて,金融機関からの借受金の返済や経費などの支出のために,平成10年ころには資金繰りに窮するようになった。
カ そのため,訴外Aは,平成12年暮れころから平成13年初めにかけて,訴外Aが約定の返還期限に預託金を返還することが期待できないとの理由で,訴外Aの預託金債権者から預託金返還請求訴訟を相次いで提起され,次々とこれに敗訴した。
キ そこで,Nが同年3月下旬ころ,知人であったOに善後策を相談したところ,Oの発案で,Oが訴外Aの代表取締役に就任して会員からの預託金の返還請求に対応することとなり,Oは,同年5月1日,訴外Aの取締役及び代表取締役に就任した(同年6月15日就任登記)。
ク しかし,執行官が同年5月1日に本件ゴルフ場へ強制執行のために訪れたという事態を受けて,Nが同月15日,Oに善後策を相談したところ,訴外A倶楽部の営業権とこれに関連する什器備品を借金の返済に代えて譲渡したことにして強制執行を免れるしかないと言われたことから,Oとの間で,真実譲渡する意思がないにもかかわらず,訴外Aから被告へ訴外A倶楽部の営業権等を譲渡することを仮装する旨合意し,そのために必要な書類の作成をOに依頼した。
ケ(ア) そこで,Oは,同月16日ころ,訴外Aが同年2月1日,同年4月末日を支払期日として被告から3億円を借り受けたとする旨の本件借用証書を作成した。
本件借用証書には,以下の特約が付された旨記載されている。
(a) 支払期日までに借受金を返済しなければ,訴外Aは訴外A倶楽部の営業権及びこれに関連する什器備品を被告に譲渡する。
(b) 前項の譲渡に伴い,
@ 訴外Aは訴外Aが契約しているX組合との賃貸借契約を解除し,新たに,被告がX組合と賃貸借契約を締結する。
A 被告と訴外Aは,訴外A所有の土地建物につき賃貸借契約を締結する。
(イ) また,Oは,つじつまを合わせるために,訴外Aの従業員に指示して,訴外Aが被告から3億円を借り受けた旨の伝票を作成させ,平成13年3月期(平成12年4月1日から平成13年3月31日まで)の決算報告書にもその旨記載させた。
コ Oは,同年5月末ころ,Nが訴外Aに残っていると訴外Aの債権者からの追及を逃れることができないとの理由で,Nに訴外Aの取締役及び代表取締役を辞任させた(同年6月15日辞任登記)。
サ その後,被告は,同年6月2日にゴルフ場経営等を設立目的に加え(同月25日変更登記),同年7月16日には訴外A倶楽部事業部を設置すると,同月中に計4回,訴外A倶楽部の会員を対象に説明会を開催し,以後,訴外Aからそっくり営業を引き継ぐ形で訴外A倶楽部の運営を開始し,同年10月には,三重県内で一番多い入場者数を記録するようになった。
シ しかし,被告は,同年12月ころから,訴外Aの預託金債権者から,被告が訴外A倶楽部の名称を使用して本件ゴルフ場を運営していることなどを理由とする預託金返還訴訟を相次いで提起され,平成14年4月ころ以降,相次いでこれに敗訴した。
ス 一方,訴外Aは,同年5月ころには,いずれも本件不動産に付された抵当権の抵当権者である,株式会社Qに対して約6000万円,株式会社Rに対して約2000万円,株式会社Sに対して約11億円,株式会社T及び株式会社Uに対して合わせて約38億円の計約49億8000万円の債務を負っていたが,本件営業権譲渡を仮装したことによって,名目上,本件不動産以外に資産はなかった。
セ 同年5月ころ,Nが訴外Aの代表取締役に就任し,被告に対して訴外A倶楽部の営業権を訴外Aに返還して,同倶楽部から撤退するよう要求すると,被告は,同月24日,津簡易裁判所に対し,被告と訴外Aとの間で以下の条項などを内容とする和解を成立させることを目的として,民事訴訟法275条に基づく和解を申し立てた。
@ 訴外Aは,被告に対し,訴外A倶楽部の営業権並びにこれに関連する土地建物及び什器備品を代金12億円で売り渡す。
A 訴外Aは,被告に対し,同月31日限り,前項の代金が支払われるのと引き換えに,前項の土地建物につき所有権移転登記手続をする。
B 被告は,上記売買に際し,訴外A倶楽部の名称及び預託金の返還請求権を有する会員に対する債権債務を一切引き継がないものとする。
C 訴外Aは,上記代金をもって上記土地建物に付された抵当権付き債務の弁済をする。
ソ しかし,訴外A代表者Nと被告代表者Vは,平成14年5月29日,両者の間で本件不動産につき贈与契約が成立したとして,贈与を原因とする所有権移転登記を申請し,同日受付で,同日贈与を原因として本件不動産につき前掲前提事実(3)アのとおりの被告への所有権移転登記がされた。
タ さらに,訴外A代表者Nと被告代表者Vは,同年6月6日,上記和解の申立てに係る和解期日に出頭した上,下記の条項などを内容とする和解を成立させた。
(a) 訴外Aは,被告に対し,同日,次の財産を贈与する。
@ 本件不動産及び本件什器備品等本件ゴルフ場に関連する一切の動産
A 本件ゴルフ場の営業に関する一切の権利(ただし,訴外A倶楽部の名称及び同倶楽部の会員に対する債権債務を除く。)
(b) 訴外Aは,被告に対し,同月10日限り,本件不動産につき所有権移転登記手続をするとともに,本件不動産及び前項@に係る動産を引き渡す。
(c) 被告は,本件不動産に付されている抵当権付き債務の,同月6日時点における残額を訴外Aに代わって弁済する。
(2)ア 上記認定事実キないしケについて,被告は,本件営業権譲渡が仮装譲渡であることを争い,被告がOのNに対する求償債権の返済に代えて訴外A倶楽部の営業権を譲り受けた旨主張し,O及び被告代表者Vは,その旨述べている(乙3号証,36号証,41号証,証人O悟)が,その内容は,結局のところ,OがNとの間で,訴外Aの代表取締役に就任し,訴外A倶楽部を運営する旨合意したことを述べるにすぎないものと解されるところであり(Oも被告代表者Vも,この合意を「営業権の譲渡」という言葉で表現しているにすぎない。),同人らの供述によっても,被告が訴外A倶楽部の営業権を訴外Aから譲り受けたと認めることはできない。
イ そして,本件借用証書においては,本件営業権譲渡に伴い,被告がX組合及び訴外Aとの間で,本件ゴルフ場の敷地等について賃貸借契約を締結する旨の特約を定めているにもかかわらず,前者との間では平成14年4月1日に至るまで賃貸借契約を締結しておらず(乙12号証の1),後者との間では,結局本件贈与によって被告が本件不動産を取得したとされるまで賃貸借契約を締結した事実を認めることができないこと,上記求償債権が存したことを裏付ける客観的な証拠が何ら提出されていないこと,本件営業権譲渡の証拠として被告が提出した営業譲渡契約書(乙26号証)には,訴外A代表者N名義の記名はあるものの押印がされていないこと,被告の株主総会において本件営業権譲渡の承認決議がされた旨の臨時株主総会議事録は当時の被告代表取締役であったWに無断で作成されたものであること(甲14号証)等の事情を考慮すると,真実被告がOのNに対する求償債権の返済に代えて訴外A倶楽部の営業権を譲り受けたものとは認めることができず,他に上記認定事実キないしケを覆すに足りる証拠はない。
2(1) そこで検討するに,上記認定事実によれば,そもそも本件は,訴外A代表者Nと被告の実質的な経営者であるOが訴外Aの預託金債権者からの追及を免れるために本件営業権譲渡を仮装したことに端を発したものであるところ,本件贈与当時,本件営業権譲渡を仮装したことによって,今度は,被告の保管する現金や訴外A倶楽部に関連する什器備品などに対して訴外Aの預託金債権者から強制執行されるおそれが生じていたものと認められる。
そうすると,本件贈与は,被告が訴外Aの預託金債権者からの追及を免れることを目的にしてされたものといわざるを得ず,真実所有権を移転する目的でされたものとは認めることができないから,訴外Aと被告が通謀の上でした虚偽の意思表示であると解するのが相当である。
(2)ア これに対し,被告は,本件贈与が仮装譲渡であることを争い,本件贈与は真実所有権を移転する目的でされたものである旨主張し,O及び被告代表者Vは,その旨述べている(乙3号証,36号証,41号証,証人O悟)。
イ(ア) しかし,被告が本件贈与に付随して履行を引き受けたとされる,本件不動産に付されている抵当権付き債務が現在に至るまで履行されていないことは,被告も認めるところである上,履行引受の内容は被告にとって重要な事項であるにもかかわらず,本件各証拠によっても,本件贈与の時点で訴外Aと被告との間で履行引受の具体的な内容が話し合われたことはうかがわれず,現在に至っても,被告は,被告経理担当者からの聴き取りを根拠に,上記債務の額を概数で主張するにとどまり,上記債務に係る契約書や残額証明書等の客観的な証拠に基づいて具体的な数字を挙げることができない状態である。
(イ) また,本件贈与を確認するためにしたとされる本件和解には,本件贈与を確認する条項が存在しない一方で,すでに給付済みの債務について売買を原因とする給付条項が規定されている上,第三者の所有する動産が贈与の対象にされている。
この点に関する被告の主張は,本件贈与及び本件和解に至る経緯や本件贈与当時の訴外Aの状況に照らして,いずれも不合理な弁解であるといわざるを得ない。
(ウ) さらに,売買契約の成立を目的にして和解を申し立ててから,その数日後に契約の内容を贈与に変更するに至った経緯も不自然であるといわざるを得ない。
(エ) これらの事情に加えて,本件においては前記のとおり,本件贈与以前にも,預託金債権者からの追及を免れるために訴外Aと被告との間で営業権等の譲渡を仮装していること等も考慮すると,O及び被告代表者Vの上記供述によっても,本件贈与が通謀虚偽表示である旨の上記認定を覆すには足りない。
ウ また,本件ゴルフ場の改装工事費用等,被告が本件贈与後に本件ゴルフ場を運営するために支出した費用については,真の所有者でなければ支出するはずのない費用であるとは直ちに認めることができないことに加え,前記認定事実によれば,本件贈与当時すでに被告が訴外A倶楽部の売上金収入を得ていたことがうかがわれることによると,本件贈与が真実所有権を移転する目的でされたものであると認めるには足りず,他に上記認定を左右する証拠はない。
3 本件什器備品の占有について
被告が本件什器備品のうち,別紙什器備品目録番号2,3及び11ないし17記載のものを占有していることは当事者間に争いがなく,同目録番号1及び4ないし10記載のものについては,被告が占有していると認めるに足りる証拠はない。
4 結論
以上の次第で,原告らの本件主位的請求は主文認容の限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条,64条ただし書を,仮執行の宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。
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相続人間で紛争が起きた場合には、民法によって各相続人が承継する財産の割合が決められている。
財産を受け取る人を相続人、財産を残して亡くなった人を被相続人と呼び、遺された財産を相続財産または遺産と呼ぶ。
日本の法律(民法)では、ある人が亡くなったら、誰が相続人になるのかが定められている(法定相続人)。
本来、相続人となるべき相続者が、相続の開始前に既に死亡していたり、相続欠格・相続排除によって相続権を失った場合には、その相続人の子供達が被相続人の財産を相続する。
相続問題は人間関係を壊す程の神経質な問題。
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サービス残業に疲れたら[残業代請求ドットコム]
サービス残業(サービスざんぎょう)とは、本来の労働時間を越えて働いた場合に支払われる賃金のことで賃金不払い残業ともいいます。
法律で規定されているものの、残業代を支払わない企業も多く、社会問題になっています。
近年は企業の効率化による人件費抑制と人減らしの中、かつて正社員で補っていた業務を残業させられない非正規社員に置き換えられたことで(ただし、企業によっては時給制の非正規社員でもサービス残業を強いられる職場もある)、正社員が過剰に働かざるを得ない状況が発生しています。
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